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ReseArchi#4 青森県立美術館

身近な建築に潜む優れたデザインを弊社スタッフが探求し、日々の共感や気づきをもとにストーリーとしてお届けする「ReseArchi」の第4弾として、青森県の青森県立美術館をご紹介します。

青森県立美術館(ホームページ
所在地:青森県青森市安田字近野185
設計:青木淳建築計画事務所
開館:2006年

青森県立美術館は、隣接する三内丸山縄文遺跡の発掘現場から着想を得て設計されています。発掘現場で見られるトレンチ(壕)のように、地面が幾何学的に深く切り込まれ、その上を白く塗装された煉瓦の量塊が覆いかぶさる構成を持っています。

量塊の下部は大きく凹凸を見せ、地面側の土の凹凸と互い違いに噛み合うように計画されています。その姿は、整列せず自由に並ぶ歯列のようでもあり、建築全体に独特のリズムと緊張感を与えています。
この大胆な構成によって、美術館はこれまで存在しなかった新しい展示空間を獲得しています。


量塊内部に設けられた真っ白なホワイトキューブの展示室と、土の床や壁が露出された「土」の展示室が対峙しながらも共存し、強い対比と豊かな空間体験を生み出します。さらに、この「土」の展示空間では、展覧会の開催にあわせて土の床や壁が部分的に壊され、補修を繰り返すという、時間の変化を含んだ試みが行われています。

まるで遺跡の発掘作業とメンテナンスを繰り返すように、建築自体が生き続ける展示装置として機能しています。

青森を訪れる機会があれば、ぜひ一度足を運んでみてください。
建築と土地の記憶が重なり合う、唯一無二の空間体験が味わえるはずです。

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